2014-05-16

行列のできるカレー店、カシミールに学ぶ

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関西人は行列が好きではありません。
それでも人が並ぶ店があります。
そんな店のひとつ、北浜にある「カシミール」というカレー屋さんに行ってきました。

この店、とにかく気まぐれということで12時開店のはずが店主の都合で14時になったり、行列で食べるのにすごく時間がかかってしまうらしい・・・といろいろなところで目にしたりしていたのですが、行った人の評判は良いのでとても気になっていたのです。

いざ、13時前に行ってみるとすでに15人は並んでいる気配。
まあ今日は気候もいいからのんびり待つか・・・などと悠長に構えていたのですが、この列の進まないこと。
恐ろしく回転してない。

結局、お店に入ることができるまで1時間15分。(真夏や真冬はムリだなあ・・・。)
入ってみたら、おじさん店主が一人できりもりしており、
かなりじっくりと調理に時間をかけている様子。

お店はカウンター席だけで、座れるのは9人ほど。

見ていたらどうも一度に調理できるのは3人分。
席についてから注文をとってもらうまで15分。
注文をとってからできあがるまで15分。
食べる時間が15分。
結局、お店に来てから食べ終わって出てくるまでざっと2時間なのでした。

まあ、サラリーマン時代にはそんな贅沢な時間の使い方はまずできないことなので、
興味深いエクスペリエンスでした。

お客さんも、カレー好きな男性一人客が多くて、店内おしゃべりもせず、ついついじっとおじさん店主の手元を見つめていたり・・・・
なんかカレー愛に支配された、男たちの無言のコミュニケーション・・・っていうんでしょうか。
静かながら熱いものを感じました。

で、カシミールが行列する店になっているのは、味ももちろんだけど、
この不器用なまでのおじさん店主のお店の回し方もあるんだなあと。
3人分ずつ調理するから、注文も3人単位で同時にとる。
そして、食べ終わって出て行った人がいても、次のお客さんを呼ぶのは3人が出て行ってから。
3のユニットで動いているんです!こんなシステム初めて!
カレーを作っているときのおじさんは、ラボの研究員のよう。
できあがったカレーをごはんの上からかけるだけ、ではないのです!

3つ並んだフライパンに、ひとつひとついろいろなスパイスやベースを少しずつ少しずつ加え、味見をし、野菜や豆腐を加え、一人前ずつ仕上げていく。だからとにかく時間がかかる。

普通のカレースタンドだったらサクサク回転するのに、
このペースだから、食べられる人の絶対数が限られてくるんです。

結果、なかなか入れないお店=お店の価値が上がる=さらに食べたい人が増える
ってことになるのかとひざを打ちました。
おじさん店主にしてみたら意図的ではないのに、行列が勝手に伸びていくのです。
どこに広告を出さなくても「やっと食べられた!」みたいに食べログにいっぱい書いてあって、
こちらも気になって、いつかは絶対食べたい・・・とか思い始めるわけなのです。

おじさん店主のすごいとこは、これだけ人を待たせても、自分のスタイルを貫いているところ。
人を増やすとか席を増やしたら回転も良くなるし、売り上げだって上がるはずなのに。
だからといって近寄りがたい頑固親父ではなく、とても腰の低い印象なので、
こういうところにも魅力があるのかなと。
目の前で料理することで、目にも舌にも店主のこだわりが感じられ、価値のあるものを食している、とお客さんに思ってもらえる。
すごいです。ゴイスーです。
デザイナーとしても刺激されます。やはり、作り手のこだわりがお客さんが買いたくなる理由とイコールになって欲しいから、それをどのように表現していくか。

今日もまた勉強してしまいました。

 

 

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