おやつ上手と呼ばれて。
昔々ほんとうに小さいころ、今は亡き祖母の家によく泊まりに行っていました。
今思えば、3人兄弟だった私は、祖母の家に1人滞在することで愛情を独り占めできて嬉しかったのかもしれません。長ければ一週間ぐらいは泊まっていたように記憶しています。
その祖母の家に、たまに「みさえさん」という女性が訪ねて来られていました。
正確にはわかりませんが、亡くなった祖父のところで働いていた方のようでした。30代ぐらいだったでしょうか。祖母がよくしてあげていたのか、そうやってたまに来るぐらいだから祖母を慕って訪ねて来られていたのかもしれません。
私は、祖母から「みさえさんが来るよ」と聞かされたら飛び上がって喜んだものでした。
何故なら、みさえさんはいつもとびっきり素敵なお土産を私に用意してくれていたからです。
あとで聞いた話だと、おもちゃ屋さんで一番新しくて子供が喜ぶものは何かを聞いて、買ってきてくれていたとのことでした。
中でも忘れられないのが、「ピコ」という、リカちゃんの6割ぐらいのサイズのお人形です。
どんな人形だったかお見せしたくて画像検索しても出てこなかったから、超マイナーだったのかもですが、リカちゃんよりやせていて繊細で少し憂いを帯びた表情の美少女で、たとえるなら「パッチギ!」の頃の沢尻エリカみたいな・・・とマニアックな話になってしまいましたが(汗)、とにかく人形遊びが大好きだった幼児の私は、ピコがとても欲しかったのです。
だからみさえさんがピコをくださったことが本当に嬉しくて嬉しくて、狂喜乱舞でした。
今もうっすらと記憶のかけらの中にある、包みをあけて私が喜ぶのを見て「良かったねえ」と微笑む祖母と和服姿のみさえさん。
まるで、サンタさんでした。
その時の気持ちをいまだにこうやって持っているのです。
そして子供心に、人にものをあげるなら、受け取る人が何を喜ぶかを想像することが大事なのだと思いました。
それに、大人になってからは、人からものをもらったら、その人が自分のためにと選んだり作ったりしてくれているところを想像するとただ嬉しくて、抱きしめたくなります。
長い前置きになりましたが、大人になった私がここ最近よく誉められることといえば、撮影現場などに差し入れるおやつセンス(?)です。
いや、神戸住まいの割には洋菓子やパンにあまり興味のない私は、周りの友達のように「どこそこのアレ」という風にこだわった高級なお菓子のお持たせの話をしているのではありません。コンビニで普通に売っているいわゆる普通のおやつの話です。
「松田さんの買ってきてくれるおやつ、いつもなんか良いわ〜」としばしば言われて、「えっ?そうかな」とよくわからなかったのですが、自分の買っているものを振り返ると、新発売のもの中心ですが、「これどんな味するのかな〜」とみんなが思うようなものを、甘いものと塩辛いものからバランスよく、と無意識のうちに選んでいたようです。コンビニってそういうものがたくさん置いてありますしね。なんせコンビニヘビーユーザーですから、新しいものはすぐ目に付くんです。
「あっ、これってみさえさんみたいな気持ちで私もいるのかも」とふと思い当たり、心の中のみさえさんにお礼を言いました。あなたのホスピタリティが、私の中に根付いていますと。
これは仕事をしていても同じことで、ビジネスホスピタリティという言葉が近いように感じます。つまりおもてなし感覚というか、もはや無意識に近いですがクライアントやその先の一般のお客さんがどのような印象を受け、反応するのかを実はものすごく考えているのです。ついつい、と言ってもいい。
どんな心持ちのときに目にするのか、検索してくるのか、何を機に「買う」意思が働くのかなど、ビジネスロードマップという言葉を知らないうちから紙に描いたりしていました。
それがいわゆる「AIDMA(アイドマ)の法則」なのでした。
A:attention(注意をひく)
I:interest(興味を持つ)
D:desire(欲しくなる)
M:memory(記憶する)
A:action(行動する=買う)
お客さんの心の動きや実際の行動をイメージして自分の企画や制作を進める。
たとえばショップのウインドー、楽しく可愛くかっこよく表現することは大事、でももっと大事なのは、それを見た方に欲しいと思ってもらい、実際に手にとり、買ってもらうこと。最終的にビジネス上の利益につながるお手伝いをするという意味で。だから、ウインドーで見たものをその近くで、目についてすぐ手にとれるようにお店の配置を調整する。
お客さんの、見てから買うまでの「流れ」がスムーズになるように。
これと同じことを、web上でも紙面上でも行うだけ。
実はこのAIDMAの法則は、ネット時代になってから電通などによって時代に合わせて「AISAS」という提唱に変わってきています。
A:attention(注意をひく)
I:interest(興味を持つ)
S:search(検索する)
A:action(行動する=買う)
S:share(ネット上で情報を共有する)
このようなことをイメージしながら仕事するのが楽しい私です。
ついつい、クライアントの立場になるがあまり社員になったぐらいの気持ちで、その会社なりブランドなりを世間にアピールする方法を本気で考えたり。
結果的にそれがクライアントにも喜ばれ、自分の強みにもなっていると言えるのかもです。
今やっている企画や撮影やデザインの仕事は、クライアントが持っているものの良さや強みを、いちばん適した表現方法や媒体で、顧客にメッセージとして正しく届くように売り込むのを、クライアントの代わりにプロとして請け負っているということ。
デザインすることは私にとっておもてなし(ホスピタリティ)であり、「サービス業」と社会的にくくられているのはまさに正しいなあ・・・と思わずにはいられません。
追記:
各社しのぎを削る、コンビニおやつ戦争。限られた棚に向けて本当にさまざまな商品開発がなされていて、質も量もレベルが高く、日本の社会の縮図を見るような・・・→おおげさ
最近コンビニおやつの中で一番のヒットは、「手塩屋だし梅味」でした。自分もすごく気に入っていて、周りにも大好評で。残念ながら期間限定で、今は手に入らないのですが・・・
亀田製菓「手塩屋だし梅味」
https://www.kamedaseika.co.jp/item/itemDetail.html?itemId=916
味というよりも小さな棚の中で異彩を放つインパクトのあるシリーズは、ファミリーマートの「俺の」シリーズ。どんぶりサイズの「俺のプリン」、どでかいお弁当箱サイズの「俺のティラミス」など、二度見間違いなしです。
「俺の」といいながら食べるのは女の子っていう気がしますが・・・
http://www.family.co.jp/goods/recommend/ore/
あとはファミマでいうとファミリーマートコレクションのお菓子類は、ブラックをバックにしたパッケージというだけで1ランク上な感じがする、高感度なシリーズで、開発センスも良いように思います。
セブンイレブンなら、オリジナルの「ふんわり揚 えび」がおいしいし、周囲のうけもすごくいいです。
大きい袋入りで108円っていうのが嬉しい。
http://www.sej.co.jp/i/item/300401310449.html?category=189&page=1
追記:
数日前、母の日に贈り物をしたのですが、「贈り物といえば、みさえさんを思い出します」とメールを送ったところ、母からも「思い出しますね」と返事が。
何でも、みさえさんの娘さんが、今でも母のもとに毎年、梨を一箱送ってくれるとのこと。
きちんとお母様の素敵なところを受け継いでいる娘さん。
縁あって交流が続くこととはなんと素晴らしいことでしょうか。
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